■ はじめに
7月14日、IBMの株価が1日で25%も急落した。1987年のブラックマンデー(23.7%安)を上回る、実に約60年ぶりの下げ幅や。
「そこまで業績酷かったんか?」と思うかもしれんけど、実は数字だけ見るとそこまでの惨事やなかったんや。
売上高172億ドル(市場予想178.6億ドル)、調整後EPS2.93ドル(市場予想3.01ドル)…わずか数%の未達やってん。
せやのになんで史上最悪の下げになったんか?
ここに「市場が本当に何を織り込んでるか」の本質が詰まってるんや。
■ IBMの下げが「数字以上」やった理由
クリシュナCEOが株主向けの書簡で、こう言うてる。
「結果は我々の予想を下回った。我々は適応し、迅速に行動することができなかった」
数字のミス幅は軽微でも、この発言の中身がヤバかったみたい。
AIデータセンター需要の爆発でサーバー・ストレージ・メモリの調達難が深刻化。
顧客がソフトウェア予算を削って、AIハードウェアの購入に一気に振り向けた。これがIBMの想定を超えるレベルで起きた、ということや。
つまり投資家が恐れたんは「今四半期の未達」やなくて、「AI投資の波が、伝統的ソフトウェア企業の収益構造そのものを侵食し始めてるかもしれん」という長期的な懸念や。
市場が本当に嫌うんは「知ってる悪材料の再発」やなくて「想定してなかった構造変化のシグナル」
IBMのケースはまさにこれやった。
■ 逆パターン: Adobeの「好決算・株価下落」
IBMとは真逆のパターンとして面白いのがAdobeや。
2026年度第2四半期決算は、売上高66.2億ドル(過去最高)、調整後EPS5.96ドルと、いずれも市場予想を上回る好内容。通期見通しも上方修正した。
それでも株価は下落。年初来では約30%も下がっとる。
理由は明確で、投資家の関心が「今の業績」やなく「AI時代にこの会社の”堀”が通用するんか」という一点に集中してるから。FigmaやCanvaといったAIネイティブな軽量ツールが台頭する中、Adobeが本当にAIで新しい成長曲線を描けるんかという疑念が、好決算のたびに「疑念を払拭できなかった証拠」として逆に扱われてしまう。
PERは11倍まで下がっとって、これはAI懸念をかなり織り込んだ水準や。
■ IBM型とAdobe型、何が違うんか
IBM: ある四半期に起きた「想定外の需要シフト」というイベント型ショック
Adobe: 業績が良くても「持続可能な強さなのか」を市場がずっと疑い続ける構造的な再評価
IBMの下げは一撃型やから、次の決算で「一時的な需要シフトでした」と説明できれば反発余地があるけど、しばらくは低迷しそうやね。
一方Adobe型は、疑いが晴れるまで延々と割安に放置される。
ある意味こっちの方が投資家にとっては厄介や。ファンダメンタルズ分析だけでは太刀打ちできんし、「いつ疑念が晴れるか」の時間軸も読めん。
■ 株主として、どう向き合うか
株価は「今の業績」やなく「将来ずっとこの調子で稼げるか」を織り込むもの、というのが大原則や。
数字が良くても懸念が晴れんかったら株価は下がるし、数字が悪くても「一時的」と納得されれば株価は戻る。
これはファンダメンタルズという「事実」より、市場参加者の頭の中にある「物語」の方が株価を動かしとる、ということでもある。
物語は数字と違って検証しづらいから、渦中におる間は「これは杞憂か、それとも本物の構造変化か」の判断がほぼつかん。
対処法としては、決算数字だけで一喜一憂するんやなくて、「市場は今、具体的に何を疑っとるんか」を言語化することやと思う。
IBMなら、AIハードウェア投資へのシフトが一時的か恒久的かどうか?
Adobeなら、AIネイティブ競合にユーザーを奪われる速度はどの程度か?
その論点がどっちに転ぶかを追いかける方が、株価の上げ下げそのものを追いかけるより、よっぽど建設的な向き合い方やと思う。
■ まとめ
・IBMの急落は業績のミス幅より、CEOの発言が示した「構造変化のシグナル」が引き金
・Adobeの下落は好決算にも関わらず、「AI時代の持続可能性」への疑念が続いてるため
・株価は「今の数字」やなく「将来の物語」を織り込む
厄介やけど、市場の非効率性の源でもあり、向き合い方次第でチャンスにもなり得る
という二面性を持つことを常に念頭に置いて欲しい。

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