■ 39年半ぶりの円安水準
2026年7月現在、ドル円が162円台まで下落し、1986年12月以来およそ39年半ぶりの円安・ドル高水準となった。
6月29日には一時162円台前半をつけ、歴史的な節目を更新したんや。
このニュースを見て「またか」と思う人も多いやろう。でも今回の円安、実はこれまでとは”性質”が違ってきているねん。
■ おさらい:円安の”土台”を作った長期構造
まず前提として、日本の長期円安トレンドには、こういう構造的な流れがあった。
デフレ長期化
↓
国債発行が拡大
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日銀が異次元緩和で国債を買い支える
↓
YCC(イールドカーブ・コントロール)で長期金利を実質0%に固定
↓
日本は金利を上げられない構造に
↓
円キャリートレードが定着
↓
長期円安トレンドが形成
これが2013〜2023年ごろまでの円安の主因やった。
低金利を”固定”されているからこそ、投資家は円を借りてドルなど高金利通貨で運用する円キャリーが定着し、構造的な円売り圧力が続いていた。
この構造を知ったのは最近やねんけど、もっと早くに知っていたら米国株でもっと大きく利益取れたとは思うね(笑)
そやけど過去から学んで今に活かすのが大切やから、構造が変化して次はどうなるか?ということを常に考えていかなとは思うわ。
■ ところが、前提が崩れ始めている
ここからが今回の本題。実はこの「日本は金利を上げられない」という前提、もう過去のものになっているねん。
日銀は2024年3月にマイナス金利を解除し、YCCも撤廃済み。そこから段階的に利上げを進め、2026年6月の会合では政策金利を0.75%から1.0%程度まで引き上げた。この1.0%という水準、実に1995年以来31年ぶりの高さや。
つまり「日本は構造的に金利を上げられない」という前提はもう成立してへん。
それなのに、円安は止まるどころか史上級の水準まで進んでいる。
これまでの経験則なら「日銀が利上げ=円高圧力」となるはずやのに、現実は真逆。
日銀が利上げを続ける中で円安が加速するという、旧来のロジックでは説明のつかない現象が起きてるんや。
■ 円安の”主犯”が変わった
では何が今の円安を主導しているのか。ポイントは3つ。
1.実質金利はまだマイナス圏
政策金利1.0%まで来たとはいえ、インフレ率を差し引いた実質金利はまだマイナス圏にある。円安修正には最低でも1.0%、できれば1.5%程度までの利上げが必要との指摘もあり、まだそこに届いていない。円売り圧力の”土台”自体は残っている。
2.日米金利差モデルの機能不全
これまでドル円を動かしてきた「日米金利差」による説明力が急速に弱まっている。日本の金利が上がっているのに円安が進むという逆転現象は、キャリートレードだけでは説明がつかない。
3.新しい主犯:財政・構造要因
今回の急落を主導しているのは、日本の積極財政(国債発行拡大)への警戒感、日本の国際競争力低下、そして中東情勢の地政学リスクとFRBの利上げ観測わ。
つまり「金融緩和による円安」から「財政・構造要因による円安」へと、円安の”理由”そのものがシフトしているねん。
■ より大きな視点:安全資産の地殻変動
この動きは、レイ・ダリオが提唱する「世界秩序の変化(changing world order)」というより大きな文脈にもつながっている気がする。
象徴的なのが、世界の中央銀行の外貨準備で、金(ゴールド)の保有比率が約30年ぶりに米国債を逆転したというデータや。
中国やインドなど、米国の影響力から距離を置きたい国々が米資産への依存を減らしていることが背景にある。
日本国債(JGB)についても、これまでは「国内投資家が支える安全資産」という位置づけやったけど、日銀の利上げ局面入りで話が変わってきている。
金利が上がれば債券価格は下がるから、これまで無リスクと思われてきたJGBにも含み損リスクが乗ってきた。
株安・債券安・円安が同時に進む「トリプル安」は、本来は新興国特有の”信認不安”パターン。それが先進国である日本で見られるようになってきているのは、なかなか不気味な兆候やで。
■ まとめ:円安は「金融政策」から「構造・信認」の問題へ
今回の162円という歴史的水準は、単なる日米金利差の一時的な話ではなく、
・日本の財政拡張への警戒
・国際競争力の構造的な低下
・地政学リスク
・安全資産としての国債の地位そのものの揺らぎ
こういった複合要因が絡み合った結果と見るべきやろう。
日銀が利上げを続けても円安が止まらないという事実は、市場が日本に問うているのが「金利水準」だけやなく、「国としての信認」そのものになりつつあることを示しているのかもしれへん。
(次回予告:ウォーシュFRB議長の「インフレリスク後退」発言 ―タカ派から一転ハト派トーンへの揺れ戻しを読み解く)

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